エリカシロナ問題

 みなさん、アローラ!

 東京大学ポケモンカードサークルの山口利休です。

 本記事は、前回の記事とは打って変わって実益的な記事にしていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 本記事ではポケモンカードをプレイしていれば一度は遭遇するかもしれない場面の検証を行います。既出だったらすみません。

 みなさんは、以下のような場面に遭遇したことはないでしょうか。

相手のサイドは残り1枚。こちらのサイドは残り2枚。相手のバトル場にはHP満タンのゾロアークGX。こちらのバトル場には闘エネルギーが1枚付いたルガルガンGX。このターン内で決着を付けなければ恐らく相手が持っているであろうグズマでベンチのポケモンがやられて負けてしまう。山札にあと1枚残っているダブル無色エネルギーが引ければツメできりさくで自分の勝ちだけれど……。手札にはエリカのおもてなしとシロナが。あれ、どっちを使った方がいいんだっけ?

 簡単に言い換えると、山札に欲しいキーカードが1枚あり、それを引くために、エリカのおもてなし(以下エリカ)とシロナ、どちらを使うと欲しいカードが引ける確率が高いのか?という話ですね。ダブル無色エネルギーじゃなくてもこだわりハチマキでもフィールドブロアーでもエレキパワーでも何にでも読み替えてもらって結構です。

 確率計算をするために前提条件を考えていきましょう。結果だけ気になる人は飛ばしてください。

 エリカシロナを使う前の山札の枚数 p 枚、手札の枚数 q + 1 枚、ドローできる枚数 r 枚、山札中に存在するキーカードの枚数 x 枚とします。キーカード x 枚中、1枚だけでも引ければ自分はゲームに勝つことができると仮定すると、エリカで r 枚ドローしたときの勝率は、


\displaystyle{
1 - {} _ {p-x} C {} _ {r} / {} _ {p} C {} _ {r}
}

と表すことができます。このとき、ドローできる枚数 r1 \leq r \leq 6 となります。

 次に、シロナを使った場合の勝率を考えます。シロナは自分の手札を山札に戻すため、山札を p + q 枚として計算します。つまり、勝率は


\displaystyle{
1 - {} _ {p+q-x} C {} _ {r} / {} _ {p+q} C {} _ {r}
}

と表すことができます。このとき、「エリカが使える状況である」という点を加味すると手札の枚数 q の条件が決定して、1 \leq q \leq 4 となります。ドローできる枚数は r = 6 ですね。

 今回はお話を簡単にするために、キーカードの枚数 x = 1 とします。この値を動かすと少々結果が変わってくるのですが、大きく結果が変わることはありません。気になる人は自分で計算してみましょう。エクセルですぐに計算できます。

 それでは結果を見ていきましょう。

 エリカシロナを使った後の手札の枚数が1枚(q = 1)のとき f:id:utptcg:20181223135159p:plain

 エリカシロナを使った後の手札の枚数が2枚(q = 2)のとき f:id:utptcg:20181223135332p:plain

 エリカシロナを使った後の手札の枚数が3枚(q = 3)のとき f:id:utptcg:20181223135344p:plain

 エリカシロナを使った後の手札の枚数が4枚(q = 4)のとき f:id:utptcg:20181223135357p:plain

※1 山札の枚数が30枚を超えるときにはシロナを使う方が常に勝率が高かったためにグラフから除外しています。

※2 エリカ1~5というのは、エリカでドローできる枚数のことを表しています。エリカ5=エリカで5枚ドローできる=相手の場にポケモンが5体

 以上のような結果になりました。みなさんの直感と確率は一致していたでしょうか。エリカかシロナを使う場合には山札の枚数、エリカで引ける枚数と相談しましょう。当たり前のことではありますが、エリカで6枚ドローできるときはエリカを使ったほうが幸せになれると思います。

 勿論欲しいカードが2枚以上ある場合には当記事で算出した確率の具体的な数値は意味を成しませんが、確率の大小関係を頭に入れておくことで役に立つこともあると思います。余談ですが、他のサポートも6枚ドローまでであればも当記事で求めた値を使用して比較することができます。

 ただ、シロナの採用率が下がってきている今のタイミングで記事を出してもあまり活用のタイミングはないかもしれません。ナイトユニゾンに入っているらしいデデンネGXが噂されている性能なら尚更ですね。

 何か間違い等がございましたら遠慮なく当サークルのツイッターアカウントまでよろしくお願いいたします。

※追記


\displaystyle{
1 - {} _ {p-x} C {} _ {r} / {} _ {p} C {} _ {r}
}

 この式に x = 1 を代入します。


\displaystyle{
1 - {} _ {p-1} C {} _ {r} / {} _ {p} C {} _ {r} \\
= 1 - (p-1)!/(p-1-r)!r! * (p-r)!r!/p! \\
= 1 - (p-r)/p \\
= r/p
}

となるので、x = 1 に限れば、ドローできる枚数 r を山札の枚数 p で割ることで暗算でも同様の結果が求められます。x \geq 2 でも使用するサポート間での確率の大小関係はそれほど変わらないので、対戦中の計算ではこちらを用いてしまうのがよいでしょう。

 

文責:山口利休